IDOLISSUES

グラビア復権の時代に、 アイドルを語れ、語りつくせ

橋本奈々未 写真集「2017」Review

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 この写真集を初めて見たとき、笑ってしまった。橋本奈々未は、もともとアイドルをやるような人ではなかったんだ、と思ったからだ。

 帯に「彼女の”これから”が見えるのは、僕だけだろうか」と秋元康の言葉がある。正にそうだ。この写真集は橋本奈々未の、僕らが見ることが出来ない「これから」を映したものである。青春を乃木坂46に捧げ、引退で僕らを悲しみの底に突き落とし、僕らの追いつかない境地に辿り着き、その先へ行ってしまった、橋本奈々未なのだ。

 誰にも媚びず美しくあれ、橋本奈々未にはそんな言葉が似合う。アイドルの写真集にありがちな「アイドル的かわいさ」に溢れる写真集は巷に溢れているが、これだけ「凛」という言葉を体現した写真集は初めてではないか。

 巻末で暗い色のリップをで唇を染め、ドレスを纏ったショットがある。清純なイメージとは程遠いダークな印象だ。もう「アイドル橋本奈々未」は完全に捨て去り、その先へ行った。もう橋本奈々未はどこにもいない。

乃木坂463期生曲「3番目の風」

 清廉、潔白、軽快-この曲にはこの言葉がよく似合う。「風」という言葉から初夏に吹く、夏の予感を感じさせる、爽やかな風を感じさせる。


乃木坂46 3番目の風

 単なるアイドルグループの3期生ではなく、乃木坂46の3期生なのだ。それだけに背負うものは大きいし期待も大きい。でも3期生はで軽々と飛び越えた。この曲は物語を作り上げていく、そのための決意表明の曲だ。乃木坂46AKB48という大きすぎる宿命を乗り越えるために涙の物語を重ねてきた。

 アイドルは物語、である。路上ライブやCD手売りといった物語を蓄積し、イベントを通してファンとの濃密な物語を共有し、それをブレイクするタイミングでファン以外にも放出する。どれだけ層の厚い物語を作り出せるかが問題なのだ。

 この曲は物語を作り出した。”Hey!”という掛け声で一体感を作り出した。ファンとこれから進んでいくんだ、という強い決意を感じる。

 単なる3期生じゃない、乃木坂46の3期生だ。

グラビアアイドルを見る2つのポイント

私は、2005年からもう12年アイドルヲタクをやっています。

そのなかでも、グラビアアイドル(以後、グラドル)が好きです。

AKB48乃木坂46のようなグループアイドルよりもグラドルが好きです。

 

2005年にミスマガジン読者特別賞を受賞した、山崎真実のファンになって以来、私の青春はグラドルに支えられてきました。

グラビアのチェックが日課となり、10代男子の定番のジャンプ、マガジンは素通りし(1回も買ったことないです)、コンビニ行けば、月曜日は週刊プレイボーイヤングマガジン、木曜日はヤングジャンプヤングサンデー(あったんだよ、昔は)、その他、Sabra(休刊が惜しまれた)、スピリッツをチェック。

家に帰りアメブロにレビューをまとめる、その繰り返しでした。

当時、音楽雑誌「rock’n on JAPAN」に感化され、文章書きたい欲求と闘っていたので「グラドル雑誌作りたい!」となっていました。今の「BRODY」みたいな感じ。

 

年間300人くらいグラドルを見て、わかったこと。それが今回のブログのテーマです。

グラドルには見るポイントがある、ということです。

Hな見方をするだけじゃない、という話です。

見るポイントは2点。

「経年変化」と「間」です。

 

経年変化

まず1点目、経年変化。

これはグラドルが成長していく過程を見ること。

新人グラドルは表情も硬いし、ポーズもなんだかぎこちない。

それが3年も経つと、アンニュイ(私は昔、これをメロウと呼んでいた・・・)な表情が出来るようになる。

 

間を捉える

間、それはかなり難しいテーマ。

ビートたけしも「間抜けの構造」でテーマにしていました。

グラドルにおける間、それは写真1枚で見る人の心を掴むこと。

「なんか、印象に残らないよなー」というグラドルはこの間を捉えられていないことが多い。

 

グラドルについて、もっと知りたいという人は織田祐二著

www.amazon.co.jp

を読みましょう。まだモグラブームが来る前の刊行で、黒船リア・ディゾンAKB48を仮想敵としていた内容です。

是非。

平手友梨奈が表現者たる由縁-欅坂46とrock’n on JAPANの現在点と-

現在発売中、rock’n on JAPAN4月号は事件だ。

何が。欅坂46のセンター平手友梨奈の単独1万字インタビューが、だ。

このインタビューは欅坂46とrock’n on JAPANの現在点を知る重要なテキストなのだ。

 

欅坂を「語る」意味

欅坂46は「坂道シリーズ」である、乃木坂46の後発アイドルグループだ。

デビュー曲「サイレントマジョリティ」は事件だった。

再開発途中の渋谷駅で奇跡的に許可を得た2日間で撮影されたMV、時代を映した歌詞、楽曲のクオリティの高さ-その全てが多くの人が度肝を抜いた。

 

rock'n on JAPANの完全なる変質

rock’n on JAPAN-ロッキングオンホールディングスが刊行する雑誌である。

ロッキングオンホールディングスは、今やフードフェス「まんパク」やROCK IN JAPAN FESTIVALを運営する巨大エンタテイメント企業だ。

rock'n on JAPANはかつては90年代渋谷系をリードし、小沢健二の伝説の2万字インタビューや、レミオロメンACIDMANサカナクションを見出した「ロックオピニオン雑誌」だった。

 

RO69という音楽情報サイトも運営している。

音楽情報サイトは巷に溢れている。ナタリー、OTOTOY、CINRA.NET・・・数を上げればキリがない。しかしその中でも異彩を放っていた。

 

RO69は2007年に誕生した。rock’n on JAPAN 2007年8月号にて誕生の宣言文は掲載された。

「発端は、なぜロックを愛するひとたちのためにウェブサイトは存在しないのだろうか?というごく単純なものでした(中略)

あるいは知りたくもない情報がただ羅列されるだけのウェブサイトに、わたしたちは正直うんざりしていました」

 

この宣言は非常に心強かった。

しかし、今はどうだろうか。かつてのロック情報に溢れていた時代とは違う、E-girlsや嵐のレビューがサイトに載る時代になってしまった。

 

かつてのrock'n on JAPANとアーティスト達-ロキノン系は何だったのか。

rock'n on JAPAN系のアーティスト-ロキノン系とは何か。

一言でいうと「双方向で物語を生み出す」アーティスト達だ。

 

2007年3月号、巻頭表紙のDragon Ash「INDEPENDIENTE」インタビュー。

大ヒットを記録した、「Rio de Emocion」路線を受け継ぐラテン色の強いアルバム。

普通の音楽雑誌ならば、新作を褒め千切る場面であろう。

しかし、rock’n on JAPANはそうはいかない。

 

紙面ではフロントマン、降谷に対し

山崎編集長「そんなドラゴンアッシュが俺は今、やっぱり世間的にはちょっとわかられてない部分もあるのかなという気がするんですよ。今、ドラゴンアッシュ過小評価期なのかなあと。それに対するフラストレーションは?」

 

降谷「全然ないすよ」

 

山崎編集長「俺はある」

 

このインタビューは二重にも三重にも深い。

「IDEPENDIENTE」は傑作だが、「Rio de Emocion」ほどの記録は残さなかった。

それを編集長山崎は見越していたのだ。

音楽評論家としてDragon Ashを認め、音楽性の高さを褒めつつも、世間にフックしないことを降谷に問い質したのだ。

 

平手友梨奈表現者

前述のDragon Ashのインタビューを踏まえると平手友梨奈のインタビューは深い意味を持つ。

インタビューは冒頭から

平手「パフォーマンスをしている自分と今の自分は違うんですよ。普段の平手友梨奈は飽きちゃうというか楽しくないんですよ」

 

これは衝撃的だ。

大人たちが決めたストーリーに乗るだけでなく、自らを客観的に見つめ表現の楽しさを語る。

新しいアイドル像を提示する。

 

アーテイストを誘導も出来ず、深い発言を引き出せることも出来なくなったrock’n on JAPANに冷や水を浴びせかける発言だ。

自ら言葉を発するアーテイストの再来によって、弱体化したロッキングオンを可視化した。

 

きっと2017年夏のROCK IN JAPAN FESTIVALのステージに欅坂46は立つだろう。

フェスに集う人たちは欅坂46をどう捉えるか。

 

rock'n on JAPANはアイドルも取り扱う普通の音楽雑誌になるのか。

欅坂ですらロキノン系として扱うかつてとはまた違った路線になるのか。

 

欅坂46とrock’n on JAPANのこれからが楽しみでならない。

rock'n on JAPANが平手友梨奈をインタビュー!!!!!

事件だ!事件だ!

 rock'n on JAPANが欅坂46平手友梨奈をインタビューしたぞ!!!!!!

 

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なんと天下のロック雑誌「rock'n on JAPAN」が平手友梨奈1万字インタビュー敢行である。

渋谷系をリードし、ロキノン厨を生みだし、ROCK IN JAPAN FESTIVALで日本に夏フェス文化を定着させた、あのrock'n on JAPANが遂にアイドルに1万字だ。

 

欅坂は観客も一体となって物語を生み出す文脈だから、語りたくなる空気づくりに成功している。

 

次のpost1では中身に迫ります・・・

大変だ、事件だ・・・・

橋本奈々未引退について今思うこと

この記事は結論も無いし、何か導くものでも無い。

ただ橋本奈々未さんの引退についての感情を吐き出したものだ。

橋本奈々未さんをはじめとする、乃木坂について語ることは自分について語ることだ。

 

橋本奈々未さんが乃木坂46を卒業する、そして芸能界を引退する。

この事実でいったい何人の人が涙してきただろうか。

 

2016年10月21日午前1時、オールナイトニッポンでの引退発表。

私はリアルタイムで聴きながら机に突っ伏して号泣した。

もう何もかもが悲しく感じられた。

しばらくの間、何をしても不意に橋本奈々未さんのことを考え泣いた。

冬になり、「来年の今頃はもう橋本奈々未さんはいないんだ」そう考えるだけで涙が出た。

 

思えば2016年は無茶苦茶な年だった。

この年に私が感じたことは「喪失とか絶望が遂に自分の領域にまで来てしまった」ということだ。

2016年に入ってすぐ、デイビットボウイが亡くなり、プリンスも亡くなった。

SMAPが解散を表明した。

アイドル以外の音楽も好きだが、まだ対岸の火事くらいにしか思っていなかった。

 

10月9日、BOOM BOOM SATELLITESの川島さんが亡くなった。

漠然とした喪失感に襲われた。

学生時代から聴いてきた人が消えてしまった。

 

そして、10月21日。

この日から悲しくて仕方ない。

遂に自分が大事に想ってきた人まで消えてしまう。

 

 

乃木坂46によって私の人生は変わった。

どう変わったか書くと長すぎるので、やめておこう。

全メンバー、私は好きだ。

その中に橋本奈々未さんがいた。

 

橋本奈々未さんに言葉は追いつかない。

橋本奈々未さんにいくら美辞麗句を並べたところで彼女の美しさに敵わない。

 

「ロケ弁が食べられるから」という理由で乃木坂46に入った。

生活が困窮していた状況を何とかしたかった。

家族を支えたかった。

病気に侵され満身創痍でも活動を続けた。

そしてやり切ったところまで来たから、引退する。

橋本奈々未さんには「潔さ」「格好よさ」「清廉さ」という言葉が似あう。

 

引退報道に関してTVやネットでは何も知らない人たちが噂を立てていた。

橋本奈々未さんが稼いだ金額なんかどうでもいい。

その存在がどれだけ多くの人を支えたか。

その言葉でどれだけ多くの人が前を向けたか。

 

橋本奈々未さんと私の世界が交差することはなかった。

きっとこれからも無い。

それでも何年先も橋本奈々未さんのことを考え生きていくのだ。

橋本奈々未さんは彼女自身のことなんて忘れてしまえばいいと思っているようだ。

忘れない。忘れることなんてできないんだ。

 

 

私は、橋本奈々未さんのことが、大好きだ。

アイドルって物語だ-乃木坂46の美しい物語-

アイドルって物語だ。

売れるアイドルには物語がある。

そして乃木坂46の物語は美しい。

 

いきなりなんだ、と思うかもしれません。

しかし私は確信しています。

 

アイドルには物語が必要だ。

アイドルが売れるには物語の法則-「共有」「蓄積「放出」が必要だ。

 

 

物語って?

 物語、というのはアイドルを構成する要素、これまでの人生です。

エピソードとも言い換えられます。

サラリーマンでも学生でも生きてきた人生があるように、アイドルもアイドルになるまでの人生、売れるまでの人生があります。

 

アイドルが売れるには

物語の法則

「共有」「蓄積」「放出」

が必要です。

 

私は10年、アイドルヲタクをやってきました。

売れずに散っていったアイドル、売れて日本を代表する存在になったアイドルを合計で1,000人くらい見てきました。

その違いを考えてきました。

 

それは物語があるかないか、でした。

 

「共有」「蓄積」「放出」って?

 

「共有」

作り出す、と言ってもいいです。
物語は元からあるものでも作り出したものでも構いません。

路上ライブで3人しか観客がいなかったとか、チケット手売りしたとか、ライブ中倒れたとか。

ファンと共有できる層の厚い物語がいいです。


「蓄積」

層の厚い物語をどれだけ蓄積できるか。

上記の観客が少ない、というのは音楽活動する人なら誰でも経験することです。

それ以上の濃い物語が必要です。


「放出」

物語をファン以外にも語る。

ソーシャルメディアがこれだけある時代なので気付いてもらうのは至難の業です。

AKB48が徹底したパッケージ化で成功した様に、パッケージ化して固めて放出する。

 

乃木坂46白石麻衣の物語

AKB48公式ライバル、乃木坂46

AKB48の5年の成功を5ヶ月で超える」を目標に2012年にデビュー。

AKB48を超える、という形ではなく、違う物語を作り出すことで大ブレイクしています。

 

私は乃木坂46がこれほどブレイクしたのも物語の法則がしっかりできていたこと。

そして、法則+aがあるからだと思ってます。

 

フロントメンバー、白石麻衣にもこの物語の法則が当てはまります。

白石麻衣乃木坂46だけでなくファッション誌「Ray」のモデルも務めています

 男性からも女性からも憧れの存在。

 

しかし白石麻衣は、乃木坂46の5年間を凝縮したドキュメンタリー映画「悲しみの忘れ方」でいじめ体験を告白しています。(この映画で乃木坂ファンになりました。号泣)

学生時代、引き籠っていた時期があった。

 

ファンと過去という物語を共有し、ライブで力を付けていくことで物語を蓄積し、映画というパッケージで物語を放出する。

 

+aって?

乃木坂46のように暗い過去を抱えていたアイドルは山ほどいます。

ファンと物語を共有し、路上から武道館まで上り詰めたアイドルもいます。

しかし、見ていて感じること。

 

悲惨、美しくない。

 

ひたむきに頑張るのはいいんだけど、可愛くない、美しくない。

そこらへんの女の子と変わりない。

 

乃木坂46AKB48公式ライバルという大きすぎる看板を背負い、地元を捨てズタボロになりながら5年を駆け抜けた。

満身創痍でもファンの願いを叶える。

しかしここぞという場面で日本アイドル史上最高の美しさを見せつける。

 

物語を作り出し、それでも美しくある。

だから、乃木坂46はここまでブレイクした、そう考えます。