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IDOLISSUES

アイドルを語れ、語りつくせ

乃木坂46ドキュメンタリー映画「悲しみの忘れ方」~希望と美しさ~

 「文章と言う不完全な容器に盛ることができるのは不完全な記憶や不完全な想いでしかないのだ」-そういったのは村上春樹だった。文章を書いていて思うのは感情を表すことは難しいということ。言葉が追い付かないということだ。私はこの文章に乃木坂に対する、不完全な感情を盛ることになる。乃木坂46は素晴らしすぎて言葉が追い付かないところまできている。

 

 本作は2015年末に公開された、乃木坂46のドキュメンタリー映画「悲しみの忘れ方」を見た感想である。アイドルに興味ない人ほど是非見てほしい。

乃木坂という場所さえ知らなかった彼女たちが成長していく物語。

いかに過酷で厳しい環境にあるか、それでも輝いているのはなぜなのか、そういうことを考える。

 

過酷とたった2文字で現せる以上の過酷さだ。

一挙手一投足はファンに見られ、ネットでは噂が駆け巡り、選抜発表の度に緊張が走る。過呼吸になり壇上で倒れるメンバーもいる。

 

なんだ、お涙頂戴の映画か。

また秋元康のお得意のマーケティング戦略にはまったか。そうでは無い。

これは普通だった、少し普通から外れた女の子たちがトップアイドルになるまでの奇跡だ。

 

 乃木坂46のオーディションから結成、2015年の4周年記念ライブに至るまでが2時間に凝縮されている。2時間では37人全員に迫れないがそれでも乃木坂46はわかるようになっている。ちなみに「乃木坂」の由来は所属レーベルSony Music Recordsの所在地が乃木坂だからである。

 

 5人の主力メンバーの過去から今に至る自分語りと、彼女らの母親のコメントがナレーションで入る。見事なまでの映像美に彩られている。

 

 アイドルというと天性の才能でアイドルになる前から輝かしい人生を送っていた、と思われがちだがそんなことはない。

いじめ、引き籠りという暗い過去を背負っている。「昔の自分が嫌いだった」という独白が何度も入る。加入前の男性交際が明るみに出たメンバーは「過去と決別できると思っていたのに、その過去がまた出てきた」と回想している。

 

 特筆すべきは生田絵梨花のエピソードである。「ドイツ生まれの天才少女」とコピーが付くようにドイツで生まれプロ並みのピアノの腕前を持つ。彼女に他のメンバーほど暗い過去は無いが、音大と乃木坂46の両立という課題がある。

 

 桜が舞い散る中で生田さんが立っているシーン。

これがアイドルだ。これこそがアイドルだ。

 

桜は1週間で散る。生田さんがアイドルとしていられるのもあと数年かもしれない。儚さと美しさが混在することが伝わる。

 

ちなみにソメイヨシノ花言葉は優れた美人、である。